歯石とは
歯垢(プラーク)が石灰化して硬くなったものが歯石です。歯石の表面はざらざらしていて、歯垢がたまりやすくなります。歯ブラシの毛先が十分に届かない部分ができるため、歯垢を落とすことが難しくなります。
歯周ポケットの中に歯石ができると、ポケットの中の炎症を悪化させます。
歯石は自分で取れるのか

歯石は、歯みがきでは取り除くことができません。
日本歯周病学会は、歯石は歯科医師または歯科衛生士でなければ取れないほど、歯に強固に付着していると説明しています。厚生労働省の e-ヘルスネットも、歯石は自分で取ることができないので、定期的に歯科医院を受診して歯石を取ってもらうことが必要だとしています。
歯科医院での歯石取り

歯科医院では、スケーラーという器具を使って、歯石を機械的にはがし取ります。スケーラーには、手で使うものと、機械で動くエアスケーラーや超音波スケーラーがあります。
超音波などを使って歯石を壊し、水で洗い流す方法では、大量の歯石も短時間で効率よく取ることができます。先のとがった器具で1本1本取っていく方法は、少し時間はかかりますが、歯ぐきの中の小さな歯石も確認しながら取ることができます。
歯石取りは痛いのか

歯石を取るときに、器具の先端が炎症を起こしている歯肉に触れるので、違和感や痛みを感じることがあります。痛みが強い場合は、麻酔(スプレー式や注射式など)を使う方法もあります。遠慮なく歯科医師に相談してください。
歯石を取ったあとに、しみる・すき間があく理由
歯石を取ったあとに、歯がしみることがしばしばあります。歯石でおおわれていた歯の根が露出したり、歯肉の腫れがひいて、隠れていた根の部分が露出したりするためです。
通常は一時的な症状で、正しい歯みがきを続けていれば徐々に改善します(数か月かかる場合もあります)。症状がひどい場合には、歯の表面に知覚過敏に対する薬を塗るなどの処置を行うこともあります。
歯石を取ったあとに歯ぐきが下がってすき間があくのは、歯の間をふさいでいた歯石を除去したことや、炎症がおさまって歯肉の腫れがひいたことが理由です。治療の効果が出てきている状態といえます。すき間があくと食べ物がはさまりやすくなるので、歯ブラシや歯間ブラシで、はさまったものと一緒に歯垢を取り除きます。
どのくらいの頻度で受ければよいか

日本歯周病学会は、歯石取りは通常1年に3回~4回がよいと言われていると説明しています。ただし、歯石の付きやすさには個人差があります。かかりつけの歯科医院を決めて継続して診てもらえば、どのくらいの期間で定期健診を受ければよいか教えてもらえます。
歯周病の治療を受けた人の定期的な管理(メインテナンス)について、e-ヘルスネットは、間隔は歯周病の重症度や歯みがきの状態などによって個別に決める必要があるとしています。目安として、治療前の状態が悪かった場合や歯みがきがあまりできない場合は1~3か月ごと、軽度の歯周炎だった場合や歯みがきが上手な場合は半年に一度のペースでも大丈夫な場合があるとされています。
研究では、定期的な歯石取りの効果はどうか
2018年のコクランレビュー(複数の研究をまとめて評価した報告)は、重い歯周炎がなく、定期的に歯科を受診している成人を対象に、定期的な歯石除去と歯面研磨の効果を調べました。
2~3年の追跡では、定期的に受けた場合と受けなかった場合とで、歯肉炎や歯周ポケットの深さにほとんど差がありませんでした。歯石の量は、定期的に受けたほうが少なくなりました。
自分に合った間隔は、歯ぐきの状態を診てもらったうえで、歯科医師とよく話し合って決めることが必要です。
歯科医師からの臨床ポイント
歯石取りの間隔は、診療ではどのように決めていますか?
まず、歯周病の治療が必要な段階なのか、治療後の状態を維持する段階なのかを区別します。活動性の歯周炎がある場合は、歯周基本治療と再評価を行い、その結果をもとに継続管理を計画します。
間隔は、歯石の付き方だけでなく、歯周ポケットの深さ、検査時の出血、骨の状態、磨き残し、過去の進行、喫煙や糖尿病などを合わせて決めます。歯周治療後の管理では3〜4か月程度が目安になることがありますが、再発リスクが高ければ短くし、安定した状態が続けば延ばすことを検討します。
患者さんには、「定期受診では、歯石の除去とともに歯周病の再発がないかを確認し、必要な処置や清掃方法の調整を行います」と説明します。
市販の器具などで自分で歯石を取ろうとする方には、どのように説明していますか?
「歯石を取りたいというお気持ちはわかりますが、硬く付着した歯石を安全に除去するには、器具の角度や力加減、歯の形、歯ぐきの状態についての判断が必要です」と説明します。自己操作では歯や歯ぐきを傷つけるおそれがあり、見える歯石が取れても、歯ぐきの中の歯石や炎症を十分に評価できません。
自宅では、歯石のもとになるプラークを毎日取り除くことに取り組んでもらいます。歯ブラシ、フロス、適切なサイズの歯間ブラシを使い、歯石が付きやすい場所や磨き残す場所を具体的に確認します。
歯石取りの痛みが心配な方には、どのように対応していますか?
まず、以前どのような場面で痛かったのかを伺います。炎症のある歯ぐきへの刺激、露出した歯根の知覚過敏、深い部分の処置など、痛みの原因に応じて対応を変えます。
途中で止める合図を決め、処置する範囲や時間を調整します。歯ぐきの中の深い歯石を取る場合などには、必要に応じて局所麻酔を使用します。痛みを我慢してもらう前提で進めないことが大切です。
また、処置後には一時的に冷たいものがしみることがあります。歯石の除去や炎症の改善によって歯根が露出し、刺激が伝わりやすくなるためです。症状に応じて知覚過敏への処置を行い、強い痛みや長引く症状は改めて診察します。
よくある質問
歯石は、自分で取ってもよいですか?
歯石は自分で取ることができません。日本歯周病学会は、歯石は歯科医師または歯科衛生士でなければ取れないほど、歯に強固に付着していると説明しています。定期的に歯科医院を受診して、取ってもらうことが必要です。
歯石取りは痛いですか?
器具の先端が炎症を起こしている歯肉に触れるので、違和感や痛みを感じることがあります。痛みが強い場合は、麻酔(スプレー式や注射式など)を使う方法もあります。遠慮なく歯科医師に相談してください。
歯石を取ったあとに歯がしみます。治りますか?
歯石を取ったあとに歯がしみることは、しばしばあります。通常は一時的な症状で、正しい歯みがきを続けていれば徐々に改善します(数か月かかる場合もあります)。症状がひどい場合には、知覚過敏に対する薬を塗るなどの処置を行うこともあります。
関連する記事
参考文献
- 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 歯周病の治療(歯周病Q&A)
- 厚生労働省(健康日本21アクション支援システム/e-ヘルスネット) 歯周病の予防と治療(e-ヘルスネット) (2020)
- 厚生労働省(健康日本21アクション支援システム/e-ヘルスネット) PMTC(歯石除去・歯面清掃)(e-ヘルスネット) (2021)
- 厚生労働省(健康日本21アクション支援システム/e-ヘルスネット) メインテナンス(e-ヘルスネット) (2020)
- Cochrane Oral Health Routine scale and polish for periodontal health in adults (2018)
監修日:2026年10月14日
